雪国

川端康成の名作中の名作である。

 

徒労とは骨を折って働いても役にたたないことという意味

島村はきっとその徒労に惹かれたんだと思う。

都会にいると損か得かでしか人は動かなくなるけれど

田舎の一見都会の人からしたら無意味である行動に美を感じる

だと思う。

 

今も二人の中で何かが起きたわけでもないし、

何かを誓い合ったわけでもない。

でも、島村がわざわざ遠いところまで出かけるのは

彼女のことがきになるからだし

彼女がどんなに仕事で忙しくても顔を出すのは

島村が好きだからそれだけなんだけれども

何も生まないそれこそが徒労である。

 

でも、この美しい徒労の営みが人間でしかやり遂げられないものであり、

だからこそ、生産性とか損得勘定だけで物事を決めるのは

人間に生まれてせっかく美しいものを感じる感性があるのに

とてももったいないことだと思った。

 

だから、一見とも思えることでも、美しさを感じるのであれば

それを大事にしなければならないし、それが結果

本当の徒労になりうるかもしれないけれど、

その瞬間素敵だったと有意義だったと思えるのであれば

それで構わないんじゃないかな